古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」は、聖仙ヴァールミーキによって紀元前500年から100年頃に成立したと伝えられていますが、物語の中には、それ以前から語り継がれてきたと考えられる要素も含まれています。
この叙事詩は、ヴィシュヌ神の化身であるラーマ王子が、魔王ラーヴァナにさらわれた妻シーターを救い出す物語です。全2万4000詩節からなる長編で、これまで様々な形で翻案され、多くの人々に親しまれてきました。
もともとは人間の英雄の物語でしたが、時代とともに神々の物語へと変化していきました。ラーマ王子はヴィシュヌ神の化身となり、敵対するラーヴァナも、元々は人間の王だったものが、神々に戦いを挑むほどの力を持つ悪魔へと姿を変えていきました。