ラーヴァナは、多くの強力な戦士たちを失い、戦況は悪化していました。ラーマ軍の勢いに恐怖を感じたラーヴァナは、弟のクンバカルナを目覚めさせることを決意します。クンバカルナは、とてつもなく巨大なラークシャサで、何でも食べてしまうほどの食欲の持ち主でした。普段は陽気で温厚ですが、ひとたび怒り狂うと、聖者さえも食べてしまう恐ろしい一面を持っていました。
クンバカルナは、ほとんどの時間を眠って過ごしていました。これは、ブラフマー神に願いを叶えてもらおうとして失敗したことが原因でした。本来、力と不死身の体を求めるはずでしたが、ブラフマーの妻サラスヴァティーの干渉により、うっかり「眠りたい」と願ってしまったのです。ある話では、クンバカルナは願いの修正を求め、6か月間眠り続け、その後6か月間眠らずにいることになったと言われています。
目覚めたクンバカルナは、凄まじい空腹を抱えており、近づくことさえ危険でした。ラーヴァナでさえ、彼を目覚めさせるのは危険を伴うことでした。
苦労の末、クンバカルナを目覚めさせ、状況を説明すると、彼もまたシーターの誘拐は愚かな行為だと考え、兄にシーターを返すよう進言しました。しかし、ラーヴァナは弟の言葉に耳を貸さず、逆に親族としての義務を思い出させ、ラーマの攻撃はラークシャサ族への侮辱だと主張しました。クンバカルナは、ラーマの行動には正当な理由があると感じながらも、ラーヴァナのために戦うことを承諾しました。
クンバカルナは軍勢を率いて戦場へ赴き、立ちはだかる敵を次々と蹴散らしていきます。多くの敵を殺し、食べてしまいました。ハヌマーンやスグリーヴァでさえ、彼の猛攻に苦戦を強いられます。スグリーヴァは巨大な岩で殴られ気絶しますが、意識を取り戻すとクンバカルナの鼻にかみつき、耳を食いちぎって脱出しました。
指揮官たちを失ったラーマは、クンバカルナに矢を放ちますが、クンバカルナの魔法によって阻まれます。ラーマの矢はクンバカルナの幻影に命中するだけで、本体には届きませんでした。激しい戦いの末、ラーマは最強の魔法の矢を放ちます。
ラーマの矢は、クンバカルナの腕を砕き、両足を切断し、最後は頭部を胴体から切り落としました。ラーマはクンバカルナの生首をランカーの城に投げ込み、城壁を破壊しました。クンバカルナは、死の間際にラーマを祝福し、救済を受けました。
ラーヴァナは、クンバカルナとその息子たちの死を知り、深く悲しみました。