猿の軍団のもとへ戻ったハヌマーンは、歓喜の声で迎えられました。シーターと話をしたと報告すると、軍団の喜びはさらに高まりました。ハヌマーンは、多くのラークシャサを倒し、ランカーの黄金の都を破壊してきたことを伝え、皆を大いに喜ばせました。その後、ハヌマーンはスグリーヴァ王に報告するため、キシュキンダーへ向けて出発しました。
ついにハヌマーンは、ラーマに直接事の次第を伝えることができました。シーターは無事であり、ラーヴァナの求婚を拒み続けているものの、救出できなければ命の危機に瀕していることを伝えました。ハヌマーンがシーターから託された宝石をラーマに渡すと、ラーマはシーターがいなければ生きていけないと改めて誓いました。翌日、ラーマはスグリーヴァの軍団を率いて出発しました。この進軍には、熊の王ジャーンバヴァトの配下の戦士たちも加わっていました。
ランカーへ渡るため、軍団は石材と木材で大海に橋を架け始めました。この作業には5日間かかり、その間にラーヴァナは事態を察知し、戦争に備えて軍事会議を開きました。会議に集まった指揮官たちは、都がハヌマーンたった一人に破壊されたことを忘れているようでした。彼らは侵略軍など簡単に撃退できると豪語し、ラーヴァナを喜ばせました。しかし、ラーヴァナの弟ヴィビーシャナは、冷静に状況を分析し、兄に忠告しました。
ヴィビーシャナはアスラでしたが、敬虔で高潔な人物でした。当初からシーターの誘拐に反対しており、改めてシーターをラーマに返すよう進言しました。当然、ラーヴァナは激怒し、弟以外がそのようなことを口にしたら殺すと宣言しました。そのため、ヴィビーシャナはランカーを捨て、ラーマ側に寝返る決意をしました。彼は娘のトリジャターに、ラーマが到着するまでシーターを守るよう指示し、ランカーの都から逃亡しました。
ヴィビーシャナがラーマのもとに出頭すると、ラーマは彼が鎚矛で武装していることに気づきました。ラーマは、ヴィビーシャナがラーヴァナに立ち向かうための武器になると理解しました。ラーマはヴィビーシャナを温かく迎え入れ、彼からランカーの秘密を聞き出し、共にラーヴァナと戦う約束を交わしました。
ラーマは一刻も早くシーターを救出したいと思っていましたが、それでも平和的な解決を望み、最後のチャンスをラーヴァナに与えることにしました。そこで、キシュキンダーの皇太子アンガダを特使として派遣しました。これは危険な任務でした。ラーヴァナは、機嫌が良い時でさえ暴君として知られていたからです。しかし、アンガダはラーヴァナに最後通牒を突きつけました。――シーターを返さなければ、破滅が待っている、と。
アンガダはラーヴァナの宮廷で、もし誰か一人でも自分の片足を持ち上げることができたら、ラーマの軍は撤退すると宣言しました。ラークシャサたちは全員が挑戦しましたが、アンガダの片足を動かすことはできませんでした。ラーヴァナとその家来たちは激怒し、ラーマを侮辱し始めました。アンガダはこれに怒り、両手で地面を叩きつけました。すると地震が起き、ラーヴァナの王冠が転げ落ちました。アンガダはその王冠を掴むと、遠くへ放り投げました。それをハヌマーンが受け止め、ラーマの足元に置きました。アンガダは軍団へ帰還しました。